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2017年/08/20

人が心地良いと感じる空間の好みは様々である。しかし多くの人は海風に身を任せて、波の音を楽しめる場所を好むのではなかろうか。

私もまさにその一人である。3年ぶりに夏休みを取って沖縄に出かけてみた。と言ってもまだ水に入れる体調ではないので、専らホテルのカフェからビーチを眺めることに終始したが、広く開口された窓から吹き込む西風に身を委ねる心地良さは格別であった。

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京都育ちの私には海景は京都の町家文化とは真逆の美しさを感じる。

狭く閉ざされ凝縮された人工美に対して、地球の果てまで開かれた自然空間の開放感は鮮やかな陰陽を描き出す。

幸い天候に恵まれ、滞在中は珍しく晴天続き、身も心もリフレッシュして帰京すると、やるべき仕事が山のように待ち構えていた。


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2017年/08/18

ダイナースカード会員向けの季刊誌「シグネチャー」に現在開催中の細見美術館「布の道標」展を紹介する記事が掲載されている。

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ライターのH女史は染織への造詣が深いとみえて「綺羅星、、」に使われている「綺」や「羅」が織物の名称だとご存知であった。

「羅」は現在でも織られているが「綺」は正体不明の織物である。明時代に書かれた「天工開物」には得体の知れない織物がいくつか掲載されていて、当時の中国がいかに高い技術にあったかを示している。

12年ほど前、中国、湖南省にある「馬王堆遺跡」から発掘された「羅」を現地調査し、復元した経験があるが、細い糸が使われていた羅織が紀元前1世紀のもとは及びもつかない精緻なものであった。

織物後進国であった日本は8世紀をピークにこれといった技術は開花しなかったと推測できるが、その訳は謎である。逆に中国では刺繍以外の染色品が発展しなかったのは染めに必要な良質な水が得られなかったのではないかと想像している。



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2017年/07/28

祇園地区でのホテル建築ラッシュに驚かされる。

いつだったか忘れたが新門前界隈にレンタルきもの店が急増しているブログを掲載したが、今度はホテルの乱立である。急増する外国人観光客を当て込んで小規模ホテルが雨後の筍の如く出来つつある。

我が家の真向かいにも高さ制限いっぱいの五階建てが近々オープンするらしいが、縄手通りの四条まで僅か2-300mの距離に3軒の新しいホテルが着工されているらしい。流行の京町家を利用した宿泊施設まで数えると半径200m以内に8軒もできると聞けば誰でも驚くに違いない。

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まあ空き家のまま放置されるよりはマシだが、行政の観光推進策と二人三脚で外国人投資家も含め、ホテルの急増は驚きと同時に脅威である。

ぎをん齋藤のある新門前通りは以前から「歴史的保存地区」の指定がされているが規制基準が緩すぎる。庇と瓦屋根、壁土を施せば基準を充たすというのはあんまりだ。

京都は本来「職人町」である。昔から京都人同士でも「あの人は何々を作っている人」という安心感で繋がっているコミュニティである。それが壊されてしまうのが恐ろしい、と同時に伝統文化の危機である。



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2017年/07/18

細見美術館での展覧会は順調なすべり出しを見せ、1日平均130名の来場者があると報告を受け安堵の気持ちと感謝の気持ちでいっぱいである。

裂だけの展覧会は京都でも珍しく関係者全員が成り行きに注目していたが、マズマズの出足に安堵している人が多いのではないだろうか。

さらに3万円もする図録「布の道標」もボチボチ売れているらしく、思ったより裂に興味を持っている人が多いのかもしれない。

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この展覧会をきっかけに、ある裂コレクターがコレクションを手放しても良いという話が持ち上がったり、「辻ヶ花」を所有する婦人が突然、古美術商の店先に現れたりと、裂ブームの予兆を感じさせる。

更に7月21日には地元、京都のラジオ番組に生出演して展覧会の案内をアピールするなど、かつてない経験も予定され祇園祭と重なって今年の私は暑い夏を迎えている。

展覧会は7月10日に一部、展示替えを行い8月20日までの閉幕を迎える。

 


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2017年/06/29

現在、ぎをん齋藤では若い有能な人材を探しているが、私の目に適う人がいない。

難しいことを要求しているわけではないが、京都で日本文化に携わる仕事がしたい、というこだわりと熱意があれば予備知識は必要ない。

織物工房でも同時に人を探しているが西陣にも人がいない。確かに華やかな仕事でもなければ高給を手にする仕事でもないが、ただ定年がなく生涯仕事として物作りを続けられることが、唯一の取り柄かもしれない。

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先日もある職人と面談したが、物の見方が近視眼的で業界の全体を見通す力に欠けていると感じた。物作りを続けるには職人と全体を俯瞰できるプロデューサーが必要である。職人だけでは、まるで目を瞑って鉄砲を撃つようなもので的には当たらない。

闇雲に撃っても、そのうち弾が切れてお終いとなる。的に正対できるよう指導する人間が必要なのだ。職人が自画自賛で突き進んで、まぐれで的に当たっても長続きはしない。

継続がなければ文化の継承は実現しない。昨今の人手不足は歪な様相に見える。特に京都では観光客の急増から観光関連産業に就く若い人を見かけるが、目先に囚われず、じっくりものを見る眼を私は持って欲しい。



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