友禅染めの迫力の無さを指摘している私が 顔料の使用を試みていることは、
以前からブログをお読みいただいている方はご承知だと思う。
友禅染めが着物の中核と位置づけられるようになったのは江戸時代中期頃で現代まで変わらない。
着物といえば「京友禅」として全国に広く知られている。
その特徴は模様の縁に糸目を施し化学染料(明治時代以降)による色挿が基本とされている。
それに対して仕上がりに迫力が欠けることを指摘し、顔料、岩絵具の使用も推奨してきたのが私である。
その最初の作品が出来上がった。
下記に掲載した「牡丹図訪問着」をご覧いただければ 直ぐにその圧倒的存在感、迫力をご理解いただけるであろう。
全て「緑青」「群青」など岩絵具を使用して染め上げた逸品である。
これを可能にしたのは卓越した職人の「技」とバインダー(接着剤)の進歩である。
絵心あって糸目がなくても彩色できる技術力が必要ある。
私もこの作品を大変気に入って本当は売りたくない気持ちだが、それを売るのが私の生業であるからしょうがない。
いつの世も時代とともに消費者の好みは変化していく、
その変化を捉え、作り手は自分の仕事の幅を広げていかなければ消費者から見放されてしまう。
不況を嘆く前に自分の足元をしっかり見つめることだ。
次作は「フェルメール」が愛した「ラピイズラリー」を使ってブルーを基調にした印象派のような優しい着物を作りたい。