さて、また御所解染名古屋帯の追加情報!
今回はこの復刻版の刺繍について。
御所解染帯の制作過程において一番慎重に進めていくが「刺繍」。
理由としてはやはりコストの割合が大きく、それゆえ柄全体のバランスを保ちながら
地色に合わせた色の配色をし、限られた数を配置することが求められるからである。
色と数の制限とバランス、センスの問われる難しい工程である。
その御所解染帯の主役である刺繍、今回は「京縫」をご紹介したい。
「京縫(きょうぬい)」とは飛鳥時代の仏画縫いからともいわれており、平安時代には縫部司(ぬいべのつかさ)
として都に置かれ、貴族の衣装や武具の装飾に用いられていたのが京縫の始まりと言われている。
そして現在の形となったのは美術革命が起こった16世紀、安土・桃山時代から主に小袖や装飾品などに
その技法が用いられ、需要と共にさらにそれが質の向上へとつながり、現在縫い方は15種以上となる
貴重な伝統技術であり、言い換えれば日本が誇る伝統的な文化遺産でもある。
話を戻すと、我々の御所解染帯はその京縫の約二種類以上を使って刺繍を表現している。
一見するとその識別は難しいが、すが縫い、こま縫い、まつい縫いなど、その箇所に適した
様々な伝統技法を使いこなしてようやくその魅力が発揮されるのである。
数多くの伝統技術で成り立つぎをん齋藤の御所解染帯、ぜひ手に取って良く眺めていただきたい。