日記帳

先代の教え

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  • 2017.10.23
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美とは心地良さである。

世の中には色々な美が存在する。風景、人物、絵画、工芸品、音楽など、ありとあらゆる物に美と美でないものがある。数学の方程式にまで美があると言うから奥が深い。   そして美の本質は受け止め側の「心地よさ」であると思っている。人の顔やスタイル、気質など心地よいと感じる人と日常的に会ったり見た…
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  • 2017.09.04
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世間は広い

古裂が市場に出ないと嘆いていたら、京都在住のある男性が山のような数の古裂を売りに出したらしく、親しい古美術商が全部まとめて買い取ることになった。 手元に届いたとの連絡があり、早速、店を訪れると、まさに山のように積まれた古裂のコレクションを目にした。 話を聞くと、そのコレクターは全く古裂には興味が…
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  • 2017.08.29
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本疋田が摺疋田へ、染めが印刷へ

江戸時代中葉から本疋田(本絞り)は少なくなり摺疋田へと移って行く。その理由は定かではないが二つのことが考えられる。 一つは幕府によって贅沢禁止の御達しが度々出され、そのやり玉に挙がったのが鹿子絞り(本疋田)であった。一目一目絹糸で絞って染められる技法は贅沢の象徴とされ、摺疋田へと移ったと考える。…
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  • 2017.06.22
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展覧会レセプション

6月18日、細見美術館に於いて「布の道標」展覧会、オープニングレセプションが開かれた。 私は相変わらず声が不調でスピーチは心配だったが、会の趣旨からして、私が一言挨拶しないわけにはいかないと意を決して御礼を述べた。 当日は快晴に恵まれ、招待客100名ばかりの前で5分ほどのスピーチを行なった。…
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  • 2017.06.13
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古渡サラサ「苺手」

久しぶりに美しい裂を手に入れた。「苺手」と呼ばれる江戸初期に渡来した古渡サラサである。 生地は当然、木綿だが質が別格に良い。絹かと思うほどのしなやかさはインドのコロマンデル辺りに日本から注文したと思われる。 サラサでも日本に輸出された木綿は東南アジアやインド国内向けに作られたものと比べると細…
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  • 2017.06.06
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「徹すれば通ず」

物作りの要諦がこの歳になって少し分かりかけてきた。 若い頃は物が見えず「いいもの」か「悪いもの」かの区別がつかず、不安を抱きながら手探りでものを作ってきたと記憶する。例えば職人の技量が計れず、工賃が適切かどうかの判断ができないまま指示してきたような気がする。 結局、売れたものが「いいもの」で売れ…
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  • 2017.05.15
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展覧会への偽らざる気持

6月の古裂展観まで一月余りとなり、展観作品の打ち合わせを細見美術館と行なっている。 古裂は全て陳列するが、他にも古裂を利用した現代のきものや先祖が残した「神坂雪佳」肉筆のきもの下絵、作者不明の墨絵などを、どう展観するか学芸員の腕の見せどころである。 実のところ私自身は今回の展覧会を光栄に感じ…
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  • 2017.05.08
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「海北友松」展を観る。

京都国立博物館で開かれている「海北友松展」は地味な作行きが多いせいか、大した混雑はなく、観る側からすれば有難い。 海北友松の絵は一言でいうと「力強さ」である。狩野派に学び、後に宋画、特に「梁楷」の影響を受けたものか、作品の多くは墨一色で描かれ力強く荒削りである。最高傑作は建仁寺本堂に描いた「雲龍」…
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  • 2017.05.06
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続「量から質へ」

上記の滑稽さの裏に何があったかと考えると「絹は高価な物」という錯覚があったように思える。 シルクロード交易で中国から輸入される生糸が金(きん)の重さと等価であった時代は遥か昔の話で、昭和も中頃を過ぎるときものの財産価値は無いに等しく、有ると錯覚していたきらいがある。 さらに正式な場所では…
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  • 2017.04.24
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稲葉賀恵さんの事

突然友人から一枚の写メが来た。 よく見ると友人の隣に立っている女性は稲葉賀恵さんではないか!。 彼と稲葉さんとは面識はないはずで、後のメールによるとパーティーで一緒だったので私を肴に話が弾んだらしい。 稲葉さんとはかれこれ30年のお付き合いである。彼女もモデルからデザイナーとして大きく飛躍された…
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  • 2017.03.04
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嬉しい報告

前々回のブログに掲載した「杜若訪問着」が、あるお客様の目にとまりメールでご注文いただけたという嬉しい報告を社員から受けた。 新しい試みに共感して、お買い上げいただけるのは作家冥利につきるというものである。 実際のところ空気を表現するために出来上がった模様に金や銀、胡粉などを上から吹き付けるのだか…
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  • 2017.02.24
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改めて「ぎをん齋藤」の自己紹介

販売窓口の会社、染物会社と織物会社の3社で構成されている「ぎをん齋藤」は、社員と職人(外注職人を除く)を合わせ総勢25名で運営されている。 チッポケな会社であることは確かだが、小さくてもキラリと光るダイヤモンドような存在だと自負している。 会社は大きいばかりがいいとは限らない、年商何千億とか言っ…
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  • 2017.02.17
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完成の域に達した「空気」の表現

以前に若松柄の訪問着で辺りに漂う空気を表現してみたことはブログでも紹介した。マズマズの出来栄えに上機嫌の面持ちであったが第2作目「杜若」図の訪問着が堂々(?)完成した。 情景を説明すると杜若が咲き乱れる池(京都では大田神社の池)に朝もやが立ちげぶり静謐な景色に思わず佇むといったところ。 きも…