日記帳

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  • 2017.06.13
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古渡サラサ「苺手」

久しぶりに美しい裂を手に入れた。「苺手」と呼ばれる江戸初期に渡来した古渡サラサである。 生地は当然、木綿だが質が別格に良い。絹かと思うほどのしなやかさはインドのコロマンデル辺りに日本から注文したと思われる。 サラサでも日本に輸出された木綿は東南アジアやインド国内向けに作られたものと比べると細…
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  • 2017.06.06
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「徹すれば通ず」

物作りの要諦がこの歳になって少し分かりかけてきた。 若い頃は物が見えず「いいもの」か「悪いもの」かの区別がつかず、不安を抱きながら手探りでものを作ってきたと記憶する。例えば職人の技量が計れず、工賃が適切かどうかの判断ができないまま指示してきたような気がする。 結局、売れたものが「いいもの」で売れ…
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  • 2017.05.15
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展覧会への偽らざる気持

6月の古裂展観まで一月余りとなり、展観作品の打ち合わせを細見美術館と行なっている。 古裂は全て陳列するが、他にも古裂を利用した現代のきものや先祖が残した「神坂雪佳」肉筆のきもの下絵、作者不明の墨絵などを、どう展観するか学芸員の腕の見せどころである。 実のところ私自身は今回の展覧会を光栄に感じ…
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  • 2017.05.08
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「海北友松」展を観る。

京都国立博物館で開かれている「海北友松展」は地味な作行きが多いせいか、大した混雑はなく、観る側からすれば有難い。 海北友松の絵は一言でいうと「力強さ」である。狩野派に学び、後に宋画、特に「梁楷」の影響を受けたものか、作品の多くは墨一色で描かれ力強く荒削りである。最高傑作は建仁寺本堂に描いた「雲龍」…
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  • 2017.05.06
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続「量から質へ」

上記の滑稽さの裏に何があったかと考えると「絹は高価な物」という錯覚があったように思える。 シルクロード交易で中国から輸入される生糸が金(きん)の重さと等価であった時代は遥か昔の話で、昭和も中頃を過ぎるときものの財産価値は無いに等しく、有ると錯覚していたきらいがある。 さらに正式な場所では…
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  • 2017.04.24
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稲葉賀恵さんの事

突然友人から一枚の写メが来た。 よく見ると友人の隣に立っている女性は稲葉賀恵さんではないか!。 彼と稲葉さんとは面識はないはずで、後のメールによるとパーティーで一緒だったので私を肴に話が弾んだらしい。 稲葉さんとはかれこれ30年のお付き合いである。彼女もモデルからデザイナーとして大きく飛躍された…
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  • 2017.03.04
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嬉しい報告

前々回のブログに掲載した「杜若訪問着」が、あるお客様の目にとまりメールでご注文いただけたという嬉しい報告を社員から受けた。 新しい試みに共感して、お買い上げいただけるのは作家冥利につきるというものである。 実際のところ空気を表現するために出来上がった模様に金や銀、胡粉などを上から吹き付けるのだか…
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  • 2017.02.24
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改めて「ぎをん齋藤」の自己紹介

販売窓口の会社、染物会社と織物会社の3社で構成されている「ぎをん齋藤」は、社員と職人(外注職人を除く)を合わせ総勢25名で運営されている。 チッポケな会社であることは確かだが、小さくてもキラリと光るダイヤモンドような存在だと自負している。 会社は大きいばかりがいいとは限らない、年商何千億とか言っ…
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  • 2017.02.17
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完成の域に達した「空気」の表現

以前に若松柄の訪問着で辺りに漂う空気を表現してみたことはブログでも紹介した。マズマズの出来栄えに上機嫌の面持ちであったが第2作目「杜若」図の訪問着が堂々(?)完成した。 情景を説明すると杜若が咲き乱れる池(京都では大田神社の池)に朝もやが立ちげぶり静謐な景色に思わず佇むといったところ。 きも…
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  • 2017.02.14
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元禄小袖を活かす

埋もれてしまった元禄小袖を切り付けにして新たな命を吹き込む。 3月に予定している六本木、武原展の為に用意している作品の一つである。 今回のテーマは6月に京都、細見美術館にて開催する「齋藤コレクション展覧会」を記念する会である。手持ちの古裂を利用して切り付けのきものや帯を展示する予定だが、その代表作…
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  • 2017.02.07
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出尽くした?古裂名品

古裂を求めてあちこちの古美術商と話すのだが、これといった出物の話はトンと聞かない。 先日も行きつけの古裂商を訪ねたところ、中国明時代の刺繍を勧められたが私の趣味ではないのでお断りをした。 私の見方では中国の染織品で魅力のあるのは8世紀〜10世紀まで遡らないと「生臭い」感じがする。 古美術市場でも…
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  • 2017.01.31
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ものづくりの極意

社員に物作りの要諦を教えるのも私の仕事である。 一番のポイントは作る物に「惚れる」ことで、消費者に迎合する物作りは感心しないと教える。 もちろんコストを考えずに作るのは無謀であり商業的ではないし、売りやすい値段を目指すのは工芸の宿命ではある。 一定のキャリアを積めば、気の向くまま作って高額な商…
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  • 2017.01.17
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「茶碗の中の宇宙」展を観る。

京都国立近代美術館で2月まで開催される「楽」家の作陶展を観る。 楽茶碗といえば千家の茶道には欠かせない茶碗である。量産不可能な技法から創り出される焼物は轆轤を使わず一つ一つ大切に焼成される。 私が特に好きなのは楽家初代「長次郎」の作品で、千利休が大成した侘び茶を象徴する利休の美意識が結実した作行…
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  • 2016.12.25
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古裂展覧会の開催

京都岡崎の細見美術館より「齋藤コレクション」展覧のオファーを受ける。日時は2017年6月17日から8月29日までの約2ヶ月の予定である。 細見美術館の館蔵品は春日大社の御神体、鎌倉時代の「春日曼荼羅」(重要文化財)で有名だが、その他尾形光琳、酒井抱一ら琳派作品、伊藤若冲らの絵画コレクションなど屈…
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  • 2016.11.24
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近くにあった名建築

下鴨神社敷地に隣接するように建てられた名建築を訪ねた。 我が家から徒歩5分に「旧三井家下鴨別邸」(重要文化財)が存在していたとは全く知らなかった。数週間前に新聞で報道されていたので散歩がてら訪ねることにした。 世界遺産 下鴨神社は糺ノ森の一角にあり京都の原風景と言われているが、別邸もナラの巨…