これはインド更紗の中でも珍しい「インド菊」の金更紗、先ほど染帯が仕上がってきた。
今回は薄いベージュ地に柄はこげ茶色、輪郭には24金で装飾し金更紗の特徴を出している。
そもそもインド菊は架空のもの、当時の職人が作り上げた想像の花で別名”アフリカ菊”ともいい、
長い歴史の中でヒンズー教の教えに従い、神々を象徴する鳥獣などと同じく独創的でエキゾチックな
草花として、それ以外にも数多くの柄(鶏頭手など)が更紗の中には登場している。
見ての通り、金の置き方は当時の金更紗の特徴を良く捉えている。
人の手でやる技術(仕事)とはこのように自然であり、乱雑にも見えるがしっかりと一つ一つ特徴がある。
その金の置き方はどこか緊張感や息遣いも感じるほど手先の動きは絶妙な感覚で動き、柄の上をなぞっている
のがおわかりいただけるだろうか。
これはまはさに「無作為の味」といえる仕事である。