きもの

THINGS TO WEAR

日本の民族衣装、今の着物として形成したのは平安時代(794年〜)からとされており、薄手の生地を重ね着し、四季に応じて夏は麻などの素材も取り入れ、日本の風土に順応していた。(唐衣裳装束・からぎぬもしょうぞく)

また当時は重ねる色調も重んじるようになり、その組み合わせは貴族階級や政治的な意味合いも含め、身分に応じて重ね着する優美な十二単(じゅうにひとえ)、大袖・小袖が公家や貴族の常着となる。

その後、長い年月を経て少しずつ変化していき、重ね着も簡略され小袖だけを着るようになり、より着やすく動きやすい合理的な形となっていく。

桃山時代には小袖の装飾がより豪華になり、色鮮やかな箔やしぼり、刺繍といった日本の伝統技術も緻密に施されるようになる。

そして江戸の元禄に入ると袖の長さや帯の巾も次第に変わり、より機能的で通気性を考えた身八口のある現在とほぼ変わらない形の小袖となっていくのである。

今の形、着物と袋帯になるのはずっと先の明治から昭和の頃で、時代と共に普段着がきものから洋服へと変わっていく中、きものは特別な行事にしか着用しなくなり、男は黒羽二重(くろはぶたえ)の紋付に羽織袴(はおりばかま)、女性は縮緬紋付裾模様下襲(ちりめんもんつきすそもようしたがさね、後の留袖や訪問着)、帯は丸帯といった晴れの日の特別なお召し物へと変わっていく。

因みに今も尚変わらないことは布地を直線に裁ち縫い合わせる「直線裁ち(ちょくせんだち)」という仕立て方で、現在も伝統技術の一つとして守られ、すべての着物はこの方法で仕立てられている。

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